【お客様訪問】株式会社食研 本社・千葉工場様
PJLAは新たにISO/IEC17025認定を取得したお客様を訪問し、認定証授与式を行うとともに
認定に関わるこれまでの準備や今後の活動について取材を行い、これから本規格の認定を
検討されている試験所・校正機関の皆様に参考となる生の情報提供を行っています。
今回は株式会社食研 本社・千葉工場様(千葉県千葉市、対象業務:3Mペトリフィルム、生菌数迅速測定用プレート(RAC プレート)に基づく「細菌検査マニュアル(SD-3-07-04-043)」に基づく食品・冷凍食品の一般生菌数試験)を訪問し、認定取得のきっかけ、工夫した点、今後の取り組みについて、今回の認定取得活動を牽引した土屋様、メンバーの皆さまにお話を伺いました。
Q1:株式会社食研様の業務、お客様について。
弊社は、食品機能製剤の製造・販売から創業し、現在は冷凍食品を主力とした加工食品メーカーです。一般消費者・業務用向け冷凍食品の製造と販売を行っております。代表的な製品としては、全国生協様で販売されている「甘辛チキン南蛮カツ」等があります。
Q2:認定取得のきっかけを教えて下さい。
A:認定取得は、品質保証部の年間目標として取り組みました。弊社では、食品の安全、美味しさ、サービスの追求をするため、品質保証活動の一貫として外部認証制度を活用してきました。食品安全は、製造工程で作り込みを行うために、原材料・製品・製造設備等を科学的な手法(試験)により検証することで評価を行います。その中でも特に微生物試験では、試験結果の信頼性確保が重要であると考えました。また自社で行う試験方法において、信頼性を確保しつつ、市場への柔軟な試験体制を構築すべきと考え、認定取得を決意しました。
Q3:認定準備で苦労した事、認定を取得して良かった事。認定を取得する過程であったメンバーの成長などを教えて下さい。
A:準備期間として本審査まで実質10ヶ月程しかなく、要求事項の理解、ルール作り、妥当性試験、マネジメントシステムの構築を同時並行で進めました。一般公開情報が少なくどこまで自分たちで突き詰めて取り組めば良いか、相談できるところも当初は見つからず、非常に判断が難しかったです。特に内部精度管理と試験法性能確認において、理解に難儀し、計画がやや遅れ気味となりました。しかしながら、以前より自分たちで進めてきたルール改善と検査員力量向上のための取り組みが役に立ち、準備期間が大幅に短縮できました。また、曖昧であったデータの統計、試験結果の信頼性、精度への考え方等について理解を深め、活用することが出来るようになり、公定試験法等の一般的な試験法以外の試験法にも視野を広げ、取り組む事ができる様になったと手ごたえを感じています。
Q4:今回の認定機関をPJLAにした理由
A:国内での認定機関を調査し、また認定取得済み取引先様の経験をヒアリングさせていただき、選定させていただきました。入門セミナーや不確かさセミナー等構築に必要な知識を補完できる事も大きな魅力でした。最初にPJLAの営業担当者様と構築スケジュールの目安を精度良く設定出来たことが、無事認定に到ったと思い返します。
Q5:今後の認定試験所としての目標、取り組みについて
A:マネジメントシステム構築の取り組みで見つかった改善すべき課題があります。要員の力量評価、力量確保や内部精度管理の充実などが当面の目標となります。また、次回審査は今回と違う手法で妥当性試験を行ってみたいと考えています。また、弊社の認定に取り組んだ目的の1つとして、「市場への柔軟な試験体制を構築」を目指しております。お客様より自分達が求められる環境を十分に理解し、様々な状況下で信頼性のある試験法の実施に取り組みます。
Q6:同業者も含めた今後ISO17025を取得する試験所へのメッセージ
A:どの様な試験所又は検査室でも、日々「その試験結果は信頼できるのか?」と問い合わせがあり、不安に思っている検査員様、また今実施している試験法以外を導入するために、「必要な為すべき事」が分からず一歩前に出ることができない試験所又は検査室様へ向け、その仕組みを構築できるISO17025への取り組みを推奨したいと思います。弊社検査室の様な食品メーカーの小規模検査室であっても、認定取得が可能であると自信を持つことができました。また、試験法の信頼性を確保した中で、検査コスト削減や製品品質へ貢献ができると思います。
Q7: 今後の抱負
A:弊社では、検査室をより有効に活用することによって、食品メーカーとしての会社品質や製品品質の更なる向上を目指し、弊社と同じ様な検査室の方と情報交換や施設の見学等も今後計画しております。
食研様からは本社・千葉工場を起点に他の事業所でもISO17025の運用を検討するなど、今回の認定を積極的に広げる展望もお話し頂きました。
また、試験法の信頼性確保、バリエーションを増やしながら、日々効率の良い検査の実施、納期の短縮、結果としての検査コストの削減の実現に取り組み、内外に情報発信しようとする姿勢にも期待が高まります。
【了】
取材・編集:事務局