【お客様訪問】公益財団法人日本分析センター様
PJLAはISO/IEC17025認定を取得したお客様を訪問し、認定証授与式を行うとともに認定に関わるこれまでの準備や今後の活動について取材を行い、これから本規格の認定を検討されている試験所・校正機関の皆様に参考となる生の情報提供を行っております。
今回は公益財団法人日本分析センター様(千葉県千葉市、対象業務:栄養補助食品の五訂日本食品標準成分表分析マニュアル及びサプリメント検査業務作業マニュアルに基づくHPLC、HPLC/MS/MS、GC-FID を用いたアルコール、カフェイン、蛋白同化薬、ベータ2作用薬、ホルモン調節薬及び代謝調節薬、利尿薬及び隠蔽薬、興奮薬、麻薬、糖質コルチコイド、ベータ遮断薬の分析)を訪問し、認定取得に関わる準備や工夫した点、今後の取り組みについて聞きました。
Q1:日本分析センター様の業務、お客様について。
日本分析センターは、1974年(昭和49年)の設立以来、環境放射能・放射線に関する分析機関として国民の皆様に正確で信頼性のあるデータを提供する事を使命としてきました。
弊センターでは、今までに築き上げてきた技術力を礎に、広く化学分析の分野でも活躍が出来る機関へと進化する事を目指しています。
その一環として我々が取り組んだのがサプリメント分析です。
今回ISO/IEC17025の認定を取得したサプリメント分析については、従来は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)からご依頼を受けていましたが2019年3月31日に公表された「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン(サプリメント認証枠組み検証有識者会議」(以下「ガイドライン」という。)に従い、今後は生産者(サプリメントを生産するメーカー)からご依頼を受けることになると考えております。
Q2:認定取得のきっかけやお客様からの問い合わせ、要望。
ガイドラインにおいて、製品分析を担当する分析機関は試験所の技術能力を証明するためにISO/IEC17025の取得が望ましいとされているため、認定の取得を決定しました。
Q3:認定準備で苦労した事、認定を取得して良かった事。
認定に際し、一番苦労したのは認定範囲の決定です。
サプリメント分析では、約190種類の禁止物質を対象に分析を実施しています。今回、弊センターで分析しているすべてのカテゴリー(蛋白同化薬、ベータ2作用薬、ホルモン調節約及び代謝調節約、利尿薬及び隠蔽薬、興奮薬、麻薬、糖質コルチロイド、ベータ遮断薬、カフェイン、アルコール)を網羅する形での認定を目指しました。
すべてのカテゴリーについての分析方法の妥当性を示すことは容易ではありませんが、分析方法の妥当性評価は重要と考えておりましたので、認定審査に際しては、妥当性評価のための種々のデータの追加取得に臨みました。
分析方法の妥当性評価方法については審査員の方にも高く評価して頂き、分析機関として信頼性のあるデータの提供が出来ていることを再確認できました。
Q4:今回の認定機関をPJLAにした理由
認定取得にあたり、いくつかの認定機関について検討しました。各認定機関の「5カ年の認定実績の推移」「審査員の技能レベル」「グローバル市場における知名度」「認定料金(3年間)」について評価した上でPJLAを認定機関として選定しました。
PJLAに対する評価の中で特に優れていたのは、認定実績と審査員の技能レベルです。
今回担当して頂いた審査員の方の技術レベル・資質ともにかなり高く、確かな審査技能を持った方に担当して頂けること自体、弊センターの分析力の向上にも繋がると感じました。
Q5:今後の試験所としての取り組みについて(東京オリンピックなどに絡むことがあれば)、対象業務を今後拡大する予定などあれば)
ガイドラインに示されている分析能力要件の達成とともに、弊センター一丸となって、ISO/IEC17025:2017版への移行を着実に進めていきたいと思います。
Q6:同業者も含めた今後ISO/IEC17025を取得する試験所(校正機関)へのメッセージ
ISO/IEC17025は、分析機関が自身の精度管理体制を構築したり業務改善に取り組む上で活用すべき有用なツールだと思います。
さらに、ISO/IEC17025を取得、維持することは、技術的な要項を含めたマネジメントシステムについて定期的に第三者の評価を得る意味で重要だと感じています。
【了】